次代を担う 意気!域!農業人(はるんちゅ)

2016.12.01

やる気のある若者、絶賛募集中!

産地拡大に向け、後継者育成に全力。

ハーブ作りに全力を注いで18年。産地の将来を見据え後継者も育てている。再来年は、エスビー食品とJAによるフレッシュハーブの契約栽培がスタートして30周年の節目。今号は、「計画通り出荷することは、契約栽培の責任」と言い切る熱血農業人を紹介。

 

沖縄はハーブの一大産地

フレッシュハーブを選別するハーブセンター

 

 取材陣が待ち合わせたのは、豊見城市与根のJAおきなわエスビーハーブセンター。

 同センターは契約栽培という厳しい管理のもと生産されたハーブの集選果場で、取り扱うのはスイートバジルを筆頭に、スペアミント、ローズマリー、セージなど10種類あまり。建物からは清涼感あふれるハーブの香りがただよう。

 今号の農業人、國吉正治さん(47歳)のハーブハウスは、同センターの目と鼻の先にある。

 

 「栽培のメインはバジルですね」

 軽トラックを駆って登場した正治さんは、たくましく日に焼け、軽快な動きはまるでアスリートのよう。正治さんの言葉通り、ハウス内にはスイートバジルが一面に並び、爽やかな香りが立ち込める。

 実は沖縄はフレッシュハーブの一大産地。温暖な気候を生かし、周年栽培が行われている。

 

ハーブとの出会い

上原指導員とメイン品目であるスイートバジルの生育状況を確認

 そもそも、エスビー食品と当時の小禄農協、県経済連による契約栽培が始まったのが平成元年。当初の生産量は0.8トンで出荷額は170万円だったが、生産者や栽培面積が着実に伸び、平成27年度は104トンで2億2000万円を売り上げるまでに産地が拡大した。

  正治さんも、農家の二代目として20年前に本格的に就農。最初の2年ほどはナスやニラなどを生産していたが、イタリアンブームが起き、フレッシュハーブの需要が全国的に高まったことから、品目をハーブに変更。現在はスイートバジルをメインにパクチーなども生産している。

  現在、主力のバジルは33アールのハウスで、年に16トンほど生産。今は週に平均400キロを出荷しているが、クリスマスなどの需要期は、週600キロまで出荷量が増えるそうだ。

  「土づくりなど基本的なことはナス作りと同じだが、バジルは”葉“を出荷するため病害虫防除には特に気を遣う。出荷量が決められているので、その点の緊張感はあります。計画通り出荷することが契約栽培としての責任ですからね」

  きっぱりと言い切る正治さん。かき集めてでも予定量を出荷するという気苦労もあるが、契約栽培で買い取り価格が決まっていることもあり、やりがいは感じているそうだ。

 

産地拡大に向けた後継者育成

研修生の長嶺卓志さんに指導する正治さん

 正治さんは、JAハーブ生産部会の部会長を務める。部会をまとめる傍ら、県が定める指導農業士の資格も活かし研修生の育成も熱心に行っている。

  「1人目は既に若手で活躍していて、2人目は今年本格的に就農した。将来が楽しみです」

  現在、正治さんの下で研修する長嶺卓志さん(28歳)で3人目。その他、ネパールからも技能実習生を受け入れている正治さんは、後輩の相談にはいつでものるそうだ。

 「エスビーさんからは、もっと量が欲しいと言われている。とにかく部会員を増やし、余力を確保することで産地を伸ばしていく。土地のクセを覚えるのに5年かかると言われている。後輩たちを長い目で見守っていきたい」

 産地拡大に向け、後継者の育成を積極的に行う正治さんが熱く語る。

 

目指すは出荷額10億円

たくさんの研修生とともに

 平成30年は、契約栽培が始まって30周年。部会では、その節目に向け3億円の出荷目標を立てている。計画達成には、役割分担も必要だという。

 「JAは営農指導やハーブセンターの操業管理、エスビーとの折衝を、農家は決められた出荷計画を守るため肥培管理を徹底する」

 高品質を維持し数量を確保することが契約先の信頼を得ることにつながると確信している。

 情熱的に語る正治さんに、将来の目標を聞いた。

 「いずれは部会全体で出荷額10億円が夢。若手が増えていけば不可能ではない。やる気ある若者はどんどん受け入れていく」

 日に焼けた正治さんが、太陽よりまぶしい笑顔で言い切った。

 

 

JA担当者の声

南部地区営農振興センター

野菜果実指導課

上原広生

とにかく農業に熱い人。訪ねていくと、いつもハウスにいます。出荷量が足りないときなど、無理なお願いも聞いてもらい足りない分の補充をしてもらっています。

 

JAおきなわ広報誌:あじまぁ

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