次代を担う 意気!域!農業人(はるんちゅ)南風原町・赤嶺勝也さん

2018.08.01

次代をう 意気!域!業人

南風原町 

赤嶺 勝也(あかみね かつや)さん

 

 

父と始めたマンゴー栽培。まだまだ勉強中です。

 

情報収集をしっかり行い、高品質なマンゴー栽培につなげたい。

 

ミュージシャンとして活動する傍ら、30代で農業を始めた。当初は父の手伝いというスタンスであったが、7年目を迎え、今や部会の定例会に出席し、最新の情報を父に伝えるのは勝也さんの役回りとなった。高品質なマンゴー栽培に向けて、勉強熱心な農業人を紹介。

 

マンゴーの生育具合を確認する赤嶺さん

ゼロから始めたマンゴー栽培

 7月上旬、台風7号が過ぎ去った後も雨はふりつづいていた。JAおきなわ南風原支店から住宅地を抜け、取材先であるビニールハウスの前にたどり着いた。

 頑丈そうな鉄骨ビニールハウスの中に、袋がけされたマンゴーが幾百と透けて見えた。その横に建つ小さな作業場は、収穫したばかりのマンゴーの甘い香りが立ち込める。

 「甘い香りがしますよね。出荷先ごとに選別作業していたところです」

 赤嶺勝也さん(38歳)が笑顔で出迎えてくれた。

 「父(勝則さん・75歳)が、役場を退職後に農業を始めたのがきっかけです。最初はストレリチアを栽培していましたが、平成22年に神里果樹生産組合(10農家が所属)が結成されたのを機に、マンゴー栽培を始めました」

 勝也さんが農業を始めたのはちょうどその頃、父・勝則さんに「やってみないか」と誘われたのがきっかけだという。

 「ゼロからマンゴー栽培に取り組むというところが面白そうだと思いました。初心者も多かったので、プレッシャーはなかったです」

 

                    マンゴー栽培は天候と病害虫との戦い

ハウス横の小屋で選別作業中

 長身で、どこか自由人の雰囲気がある勝也さん、それまで農業とは無縁で、ミュージシャンとして楽曲を作ったり、録音を手がけたりして音楽活動をしてきた。結婚し、父となり、と自身をとりまく環境の変化もあり、時間の調整が利く農業と音楽活動の二足のわらじを履くことを選んだ。

 「父は農業の先輩ですが、ハウス栽培のマンゴーは初めてだったので、よい意味でお互い学び合い、情報を交換し合い、いい関係でやって来ました。組合の所属農家の方たちとも一致団結して、ここまでやって来たと思います」

 勝也さんは、4棟のビニールハウス300坪(10アール)でマンゴーの栽培を手掛ける。昨年の出荷量は3500個で、今期は親戚から借りた150坪(5アール)をあわせると、さらなる増産を見込んでいる。

 勝也さんは、JA南風原支店果樹生産部会員として毎月の定例会にも積極的に参加している。

 一番勉強になるのは、定例会で実施される現地検討会とのこと。

 「たまたま現地検討会でうちのビニールハウスを視察したベテランマンゴー農家の方に、スリップス(害虫)の発生をいち早く見つけてもらいました。なんとか被害を最小限にとどめることができました」

 毎年のように、新たな問題が発生し、去年がこうだったから今年も、というわけにはいかないという。

 「幼木2年目の時に台風で塩害にやられ、次の年の収穫に影響が出ました。マンゴー栽培では毎年、天候と病害虫との戦いなんです」

 情報を広く収集した上で、自分なりの結論を出さなくてはいけないところが難しいところであり、また手応えを感じているところでもあるようだ。

 

高品質なマンゴーを目指して

きれいに選別されたマンゴー

 

 「今の規模でより質の高いものを作っていきたい。病害虫の防除や収穫時の水管理などを徹底できれば、さらに高品質なマンゴーを栽培できると考えています」

 勝也さんのほ場の規模は、神里果樹生産組合の中でも決して大きくはないが、これからも父、勝則さんと二人三脚で、一個一個ていねいに作っていきたい、と考えている。

 目下の課題は、「マンゴーの日焼けと実の大きさ」。

 「日焼けすると、日焼けした部分から早く傷んでいくので、遮光ネットをかけたり、袋がけした上から笠状の覆いを掛けたりします。でも、日に当てないとなかなか美味しそうな色にならない。今年は空梅雨だったので、特に気を配りました」

 「また樹が若いので、実もまだまだ小ぶりです。樹に力をつける為の肥培管理も、日々勉強中です」

 課題解決に向けて奮闘する日々だ。

 

親子で挑むマンゴー作り

 今年の収穫は、台風の襲来もあって、いつもより早めの6月末より始まった。作業小屋のテーブルの上、ソファの上にはふかふかの布の上にマンゴーが規則正しく並べられ、仕分け、出荷を待っている。毎年、7、8月の繁忙期には、母・明美さん(67歳)が収穫・選別を手伝ってくれており、その手際の良さは頼りがいがあるそうだ。

 収穫したマンゴーを扱う勝也さんの手つきは優しく、生まれたばかりの赤ちゃんを扱うように注意深い。手塩にかけた、という表現がぴったりだ。

 親子で挑むマンゴー作り。情熱を注ぎ、育まれた完熟マンゴーは、ますます磨きがかかりそうだ。

 

お父様の声

赤嶺 勝則さん

軽い気持ちで、「農業をやらないか」と声をかけてみたのがよかったのかもしれません。私も70代半ば、これからは息子の時代です。

 

 

JA担当者の声

南風原支店
経済部経済課 大城 朝廣

毎月の栽培講習会にも参加され、現地検討会でも他の生産者と積極的に意見交換をして情報収集に熱心です。逆に刺激をもらっています。

 

JAおきなわ広報誌:あじまぁ

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