次代を担う 意気!域!農業人(はるんちゅ)豊見城市・安谷屋剛さん

2018.05.01

 

 

全国の産地に負けないミニトマト作り。

豊見城市産のブランド「ちゅらとまとミニ」をみんなに食べてもらいたい。

 約50棟のビニールハウスで、効率化と工夫の農業で年間33トンものミニトマトを作るかたわら、ミニトマト専門部会の副部会長として、豊見城市のブランド「ちゅらとまとミニ」の継続発展を目指し、販促活動にも情熱を注ぐ若き農業人。

 

都会のすぐ側のハウス群

約50棟のハウスでミニトマトを栽培している

 那覇から国道331号を南下、瀬長島の手前で左折、内陸部へ向かい、ミニトマトのハウスがある豊見城市田頭へ。モダンな家並みの隣り合わせにビニールハウスが幾棟も連なる都市農業風景が広がる。ここは都会のけん騒がうそのよう。                                        

 ビニールハウスから笑顔のイケメンがあらわれた。今号の農業人、安谷屋剛(37歳)さんだ。剛さんは、ミニトマトの生産量が沖縄一の豊見城市の中でも指折りの大規模農家の後継者で、現在2100坪の敷地で年間33トンのミニトマトを出荷している。                             

 剛さんがご両親のことから話してくれた。「私の父(重信さん・70歳)と母(幸子さん・68歳)は、もともと葉野菜を作っていました。その後、大玉トマトの生産をはじめ、平成12年からミニトマトの栽培に力を入れています」平成18年、JA豊見城支店ミニトマト専門部会が発足し、父・重信さんは初代部会長を務めた。その頃、剛さんは農業を始めた。

 次男で運送会社に勤めていた剛さんだが、周りの「両親が築き上げた農業を引き継いで発展させるべきではないか」という助言で「自分がやるしかない」と農業の道へ進むことを決意した。

 

ミニトマト作りの魅力と苦労

ミニトマトの生育をチェックする剛さんと  具志堅課長

 「農業は頑張った分だけ自分に返ってくる、というのが魅力です。また、1から10まで自分で作り上げることができる、という点にもやりがいを感じます。両親からたくさんのことを学びながら、自分なりの工夫で奮闘中です」と目を輝かせる。

 ミニトマトはとにかく手間のかかる作物で、一人で300坪が限界と言われているそうだ。2100坪を切り盛りするのに、父と母と剛さんの3人ではとても追いつかず、現在、カンボジアから3年契約で2人を雇い入れ、3、4月の繁忙期にはパートで、収穫する担当の2人にも来てもらっている。

 「一人500坪を見る計算で、手入れする担当、収穫する担当と分業制にすることで効率化を図っています。一人で全てをやっていると作業がかち合うこともあり、手入れが遅れると収穫に影響しますから」と重要な手入れ作業は剛さんが担う。

 

品質にこだわったミニトマト栽培

こまめな管理が大事

 「8月の後半から定植、11月初めには収穫が始まります。翌年の6月までほぼ3日置きに収穫します。3、4月の旬が糖度が乗って一番おいしいですよ」

 ミニトマトの肥培管理で最も注力するのが「水分量の調節」だという。土壌の温度や天候、時季に応じてきめ細かな調節が必要となる。剛さんは勘に頼るのではなく、温度や照度、CO2濃度などを一元管理したシステムを試験的に導入することで高品質なミニトマトづくりにつなげている。

 収穫量が落ちてくる5月の中旬頃には土壌分析をおこない、残肥をチェックし、来期の植え付け準備をする。残肥が多ければソルゴーなどの緑肥を入れて、対処を怠らない。  

 「勘に頼るにはまだまだ経験が足りません。今期は水分量の調整など肥培管理が上手くいき、例年以上に品質が良いです」

 そう話してくれた剛さん。今年1月に開かれた県の品評会では金賞(県農業協同組合中央会長賞)を受賞するなど3度の受賞歴を持つ。

 

「ちゅらとまとミニ」を広めていく

県内ファーマーズマーケットやAコープ、  量販店で購入ができます。

 豊見城市は、平成8年に国の指定産地、平成24年には県の拠点産地に認定された。現在、9割が県内、1割が県外で消費されている。ブランディングの一環として昨年から銘柄を統一し、「ちゅらとまとミニ」の名前で出荷している。従来、豊見城市産の大玉トマトの銘柄であった「ちゅらとまと」との相乗効果で、ブランド力を存分に発揮している。

 「ミニトマトは、野菜だけど果物に似ていて、作り方で糖度や味に差が出るところが面白い。どこの産地にも負けない、糖度の高いミニトマトを作りますよ」

 目下、その実現に向け、さまざまな活動に取り組んでいる。

 

 

 

「ちゅらとまとミニ」を広めていく

完熟取りでおいしいミニトマトを栽培している

 「ミニトマト専門部会として、割れにくくて味が乗りやすい品種のTY小鈴をメインに、さらに完熟取りで出すようにしています。完熟取りというのは一番おいしいときに収穫する、収穫後、鮮度が長持ちするように作る技術が必要です」 

 部会の副部会長を務める剛さんは、「美味しく作っても宣伝しないと売れない」と、自ら県外販促活動に赴くなど、「ちゅらとまとミニ」の宣伝に余念がない。

 笑顔が素敵で責任感の強い剛さんが作るミニトマトに、産地「とみぐすく」としての自信と誇りが垣間見えた。

 

 

JA担当者の声

豊見城支店
 経済部農産課課長 具志堅智明

 農業に対する姿勢や取り組みはとにかく素晴らしい。地域の先輩方とも積極的に関わり、経験や知識を吸収しています。ミニトマト専門部会の副部会長として、部会活動や勉強会、販売促進の活動にも取り組み、部会員の模範となっています。

 

JAおきなわ広報誌:あじまぁ

地域で頑張る農家を紹介する「農業人(はるんちゅ)」はあじまぁに掲載されています。
「あじまぁ」は組合員、地域とJAをむすぶコミュニティーマガジンです。各JA支店・JA関連施設(ファーマーズマーケット、Aコープ、JA-SS)よりお持ち帰りいただけます。

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