次代を担う 意気!域!農業人(はるんちゅ)

2016.02.01

 

津堅ニンジンの魅力を多くの人に知って欲しい。

先駆者の父を支えて、規模拡大に向け共に奮闘。

キャロットアイランドとして有名な津堅島。「島が豊かに潤うように」という願いを込めた農業生産法人「豊潤」を立ち上げた父と、機械化で島の農業を発展させたいという夢に向かって共に歩む。今号は、島の未来を背負って立つ農業者を紹介。

 

キャロットアイランド「津堅島」

 勝連半島の先端にある平敷屋港からフェリーに乗りこんで約30分。着いたのは津堅ニンジンで知られる「津堅島」だ。”キャロットアイランド “という名で有名な津堅島。島の船着き場は「キャロット愛ランドマリンターミナル」。島へ渡る船やチケット、島内のマンホールのふたにはニンジンのキャラクター。島の展望台もニンジンの形と、あらゆるものがニンジンをモチーフにしている。

 集落内を進み到着したのは、農業生産法人「豊潤」の事務所。「ニンジンの島へようこそ」と、照れた笑顔の恩納謙太さん(43歳)と代表社員の父謙勝さん(70歳)が、ニンジンの天ぷらと共に出迎えてくれた。

 「手伝っているうちにそのままという感じ。父の熱意に負けましたね」

 就農のきっかけを語る謙太さん。ニンジン生産歴30年の父のもと、手伝いから農業を始めて15年。父謙勝さんも「今や立派な後継者だ」と期待している。

 

作業省力化に向けた機械化

機械化された収穫作業

 県内におけるニンジン産地としての生産拡大に向け、謙太さん親子は平成21年に農業生産法人「豊潤」を設立。現在は、約5ヘクタール(約1万5千坪)で津堅ニンジンを生産している。

 9月から12月頃までに播種し、収穫が年明けから4月頃まで。今年は、約100トンの生産を見込んでいる。

 播種から施肥、ニンジンを掘り起こす作業までを所有している3台のトラクターで行っており、さらに上の葉をカットできる収穫機も導入した。

 「これで全工程が機械化する。今よりもずっと作業は楽になるだろう」

 と2人して声を弾ませる。

 

ニンジン生産に欠かせない水やり

母ハツエさんとニンジンの葉落とし

 「実は津堅島唯一のため池に穴が空いてまして。雨はいつ降るか分からないですし、水不足が深刻ですね」

 ニンジン生産には水やりが欠かせないそうだが、平成30年には念願の「県営かんがい排水事業(津堅地区)」が完了。新しいため池が完成し、その後、旧ため池を補修することで畑に潤沢な水を供給できるようになるのだ。

 「完成のあかつきには、面積を10ヘクタールまで広げたい。生産量も200トンを超えるでしょう」

 機械化に加え、かんがい排水事業の整備の目途も決まるなど、生産拡大への道筋が見えたことで、2人とも安堵の表情を浮かべる。

 

 

一大産地のプライドを背負って

豊潤を担当する前原さんと恩納さん親子

 栽培に適したアルカリ性土壌の「島尻マージ」に加え、豊富なミネラルが潮風に乗ってやってくるおかげで、「津堅ニンジン」は甘みが強く、県外では特に人気だそうだ。

 「津堅ニンジンの魅力を多くの人に知って欲しい。県内にも確実に出回るよう、ニンジン作りを続けていきたい。農業はキツイと思われがちですが、機械を利用すればもっと楽にできるということを私たちが証明すれば、もっと多くの仲間ができるはずです」

 物静かな謙太さんだが、夢の話になると熱く語る。

 「父が技術的にもまだまだ上。超えるのはまだ先ですね」

 「いやいや、来年度には謙太が代表者に就任する。もう一人前だよ」

 一連のやりとりに、親子ゆえの信頼関係が見えた。

 話が終わると、島に点在する畑を見せてもらった。そこには、ふかふかの布団のように作られた土壌の中に、津堅ニンジンがあったかそうに収穫を待っていた。

 

ご両親の声

恩納謙勝さん、ハツエさん

男どうしで、あまり余計な話はしないけれど、よく頑張ってくれている。これからも力を合わせて島をニンジンで元気にしたい。(謙勝さん談)

 

 

JA担当者の声

中部地区営農振興センター

前原 龍太郎

働き者で、優しい人です。JAからの依頼にもいつも快く協力してもらっています。かんがい排水事業が完成すれば、津堅はさらに魅力ある島になると思います。

 

 

 

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