次代を担う 意気!域!農業人(はるんちゅ)

2016.07.01

 

カンダバーを沖縄夏野菜の王様にしたい。

ブランド「ぐしちゃんいい菜」の生産・魅力拡大に全力。

夏場の葉野菜不足解消に、何か無いかと考えていた時、「ぐしちゃんいい菜」と出会った。八重瀬町具志頭地区では、島野菜の一つであるカンダバーを、生産地の名を冠した「ぐしちゃんいい菜」としてブランド展開。今号は、地域の名産づくりに日々励む、兄貴分「農業人」を紹介。

 

驚くほど食べやすいカンダバー

真也さんと安里さん夫婦、徳元指導員

 「食べたらきっと驚きますよ。昔のカンダバーとは違いますからね」

 八重瀬町具志頭地区で、カンダバー「ぐしちゃんいい菜」を栽培する平良真也さん(47歳)がニヤリと笑う。この地区はピーマンや小菊で有名な農業地帯だが、島尻マージのやわらかい土壌を生かし、古くからサトウキビのほか、カンショやダイコンなどの根菜類が栽培されてきた。

 真也さんは、現在6・6アール(200坪)でぐしちゃんいい菜を栽培している。具志頭支店いも生産部会の副部会長の傍ら、支店青壮年部の部長も務める。周りから頼られる兄貴分といった印象だ。

 真也さんから、いい菜の特徴を聞いていると、いも生産部会長の安里美津男さんと、いも部会ぐしちゃんいい菜専門部長の喜美子さん夫婦が到着し、話に加わった。

 

イモどころならではの特産物

大先輩の安里美津男さんと

 高校を卒業後、一旦はサラリーマンとして働いた真也さんだが、32歳の時、農業への道に進んだ。

 「小さいころからオジイの手伝いでダイコン収穫の手伝いはしていました。もともと興味もあったので、農家になったのは自然な成り行きですね」

 それから真也さんは農業に打ち込んだ。冬はピーマンやキャベツを作り、夏場にはゴーヤーやナーベーラーを作っていた真也さんだが、ある疑問を持っていた。

 「沖縄は夏場の葉野菜があまり無い。何か無いかと常々考えていたのですが、なんとそれが身近にあったんですよ!」

 カンダバーは良く知っていた真也さん。安里さん夫婦が作る「ぐしちゃんいい菜」と出会い栽培を始めた。

 真也さんの年間収穫量は、6・6アールで4~5トンほど。シーズンは5月中旬から12月半ばまでで、約20日間隔で収穫を繰り返す。夏場は収穫が多い月で約1トンも採れるそうだ。

 「台風にも強く、虫の被害が出ても切り戻ししてやればリセット。20日後には青々と育つ。沖縄の風土にあった作物だと思います。あと10アールは拡大させたいですね」

 

カンダバー「ぐしちゃんいい菜」とは

葉柄部(茎と葉の間)が長いのが特徴

 「ぐしちゃんいい菜」とは、生食用に改良されたかずらのこと。生産地の具志頭(ぐしちゃん)と品種系統「沖育01-1-7」(いいな)に由来している。

 「旧具志頭村が八重瀬町に合併した時に、ぐしちゃんというネーミングを残したかったんです」

 と名付け親である喜美子さん。平成23年にはこの名称で商標登録も取得した。

 「葉だけでなく、葉柄部(茎と葉の間)も柔らかくエグ味も少ないので、より多彩な食べ方ができるんです」

 カルシウムやミネラル、ビタミンEなどの栄養素が豊富に含まれているという「ぐしちゃんいい菜」。軽く火を通すと、より食べやすくなる。

 きんぴらをはじめ、豆腐と合わせた肉みそ和えやツナ和え、毎年開く試食会ではスムージーが人気だそうだ。

 今では、町内の学校給食のみならず、那覇市や浦添市の学校給食にも拡大。子どもたちにいっぱい食べて欲しいとの願いから、いい菜専門部の部員12人全員が減農薬を目指すエコファーマー認定を取得した。

 

目指すは夏野菜の王様

ぐしちゃんいい菜は毎週土曜日、JA具志頭支店の朝市で販売しています

 いも生産部会では食育活動も活発。昨年度はカンショ掘り体験にと、安里さん夫婦を筆頭に10月から12月までに県内各地から7000人ほど子どもたちを受け入れた。体験を通じて、食の大切さ、農業の魅力を次代につないでいるのだ。

 若手育成に力を入れている真也さんにも心強い味方ができた。

 「長男の諒真(20歳)が、母と一緒に農業を手伝ってくれている。農業に興味を持ってもらいたくて、小さいころからトラクターにも乗せてあげたりもしてきましたからね。立派な後継者に育てますよ」

 面倒見が良い、兄貴肌の真也さんが続ける。

 「沖縄の夏野菜といえばゴーヤー、ナーベーラー、ぐしちゃんいい菜。それぐらい言われるよう認知度を高め、夏野菜の王様にしたいですね、あっはっは」

 目標に向かって突き進む、頼もしい真也さんが豪快に笑った。

 

先輩の声

いも生産部会長 安里美津男さん

ぐしちゃんいい菜専門部長 安里喜美子さん

農業だけでなく、少年野球の指導など、地域で先頭に立って頑張ってくれています。「ぐしちゃんいい菜」を力を合わせて普及させていきたい。リーダーシップに期待しています。

 

JA担当者の声

南部地区営農振興センター

野菜果実指導課

徳元秀樹

地域の農業振興を真剣に考えている方で、若手の育成に取り組んでもらっています。お陰で若手の活動が活発になってきています。

 

 

JAおきなわ広報誌:あじまぁ

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